本記事では、以下についてご説明します。
価格インパクトとは
価格インパクトは、最下層のアセットペアの市場価格に対するユーザーの個々の取引の影響値です。これは、プール/自動マーケットメーカー(AMM)の流動性の量と直接相関 しています。価格への影響は、流動性の低い市場/ペアにとって特に高く、トレーダーが資産の大部分を失うリスクがあります。
以下は、マイナスの価格インパクトを与える1inchの非流動的スワップの極端な例です。
この例のユーザーがスワップを続行する場合、164,308ドル相当のETHを68,661ドル相当のDIPで取引することになります。これは、現在の市場価格でこのサイズの注文を約定するのに十分なDIPの売り手がないためです。喩えるならば、1つ大きな取引が、小さなプールの中で大きな水しぶきをあげるようなものです。
価格インパクトもプラスになる可能性があります。プールが反対方向に不均衡な場合、取引がプールに対して割引で行われる可能性があります。これは裁定取引（アービトラージ）とも呼ばれます。
価格インパクトと価格スリッページの違いとは
価格インパクトと価格スリッページは非常に似ていますが、ニュアンスが違います。
価格スリッページとは、外的な広範な市場の動き(取引とは無関係)によって引き起こされる価格の変化を指し、価格インパクトとは、取引自体によって直接引き起こされる価格の変化を指します。
価格インパクトと同様に、スリッページもプールの流動性に大きく依存します。トークンペアが流動性の低い量である場合、プールのレートに大きな変化を引き起こすためには、より小さな集団市場の動きが必要です。
スリッページもプラスになる可能性があります。レートが有利な方向に変化した場合、余剰分のトークンがスワップに返されます。現在、1inch Networkでは、「スワップ余剰」の内100%が 1inch Network Treasuryおよびリファラーに分配されています。
マイナスの価格インパクトを最小限に抑える方法
設計上、1inch Network Pathfinderアルゴリズムは、複数の流動性ソース間で取引金額を自動的に分割します。これにより、取引に対してマイナスの価格インパクトを最小限に留めることができます。
留意事項：1inchルーターは、ソースが1つしかない非流動性トークンの価格インパクトを最適化できません。
スワップの価格インパクトを手動で減らすには、スワップされた金額を減らすか、より多くの流動性が市場に入るのを待つかです。多くの「評判の悪いプロジェクト」や詐欺トークンにとって、この流動性は決して現れることはありません。また、[You Receive（受取額）]のトークンの量が現在の市場レートに対して正しい量のトークンであることを確認することを強くお勧めします。
スリッページをコントロールする方法
1inchには、スリッページを処理するための非常に効果的なツールがあります。これを[スリッページ許容度」機能と呼ばれ、ユーザーは自分の取引に許容される望ましい割合のスリッページを設定することができます。
***デフォルトでは、1inchはトークンペアのボラティリティを検出し、それに応じてスリッページ許容度を調整する「自動スリッページ」を使用します。
この機能には、スワップ設定からアクセスできます。
***ユーザーの利便性のため、「スリッページ許容度」インジケータは'設定でその横にあるピンアイコンをクリックすることで'スワップページに固定できます。
返却されたトークンの量が、送信時から確認時までの間に割り当てられたスリッページ許容度を超えた場合、トランザクションは失敗します。失敗した取引にはガス手数料(返却不可)がかかりますが、ファンドのさらなる損失を防いでくれます。
トランザクションに対して、スリッページを過度に高く/低く設定した場合
スリッページ許容度を設定するための「スイートスポット」があることが多いです。この理想的な金額は、個々のトークン、トランザクション、および個人のリスク許容度によって異なります。
高すぎる場合：
スリッページ許容度が非常に高く設定されている場合、大きな価格変動にもかかわらず取引が完了することがあります。これは、フロントランニングやサンドイッチ攻撃につながります。サンドイッチ攻撃とは、攻撃者が保留中のトランザクションを見て、被害者のトランザクションの直前と直後に、かなり大きなトランザクション(同じトークンを使用)を配置するフロントランの一種です。これにより、被害者の取引の価格が上昇し、フロントランナーが価格差を効果的に搾取できるようになります。被害者のスリッページ許容度が非常に高いため、攻撃者が搾取できる額も大きくなります。これは、「部分約定」設定を有効にするか、フラッシュボット機能を使用することで、スリッページ許容度を低く設定することで簡単に防ぐことができます。
低すぎる場合：
スリッページ許容度が低すぎる場合、価格が設定された%を超えた場合、トランザクションは失敗(リバート)する可能性があります。許容度が低いと、フロントランが妨げられる可能性がありますが、失敗したトランザクションに対するガス手数料の損失を引き起こす可能性もあります。
スリッページ許容度が低いためにトランザクションが失敗した場合、ブロックエクスプローラでトランザクションを表示すると、「エラーが発生して失敗しました。'Min return not reached'」と表示されます。
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